ラボ グロウン ダイヤモンド (Lab-Grown Diamond) は、地球上で生成されたダイヤモンドです。いわゆる[模造石・類似石]と呼ばれるダイヤモンド
代替石(キュービックジルコニア、モアッサナイト、クリスタル等)とは全く異なり、鉱山で採掘された天然ダイヤモンドと同じ科学的、物理的、光学的性質を持つ同じ物質です。ラボ グロウン ダイヤモンドと天然ダイヤモンドは同じ原料からできています。唯一の相違点は生成された環境です。
1956年にGE社が初めてラボ グロウン ダイヤモンドの生成に成功して以来、ラボ グロウン ダイヤモンドの生成技術は日に日に大きな発展を遂げてきました。用途としては主に工業用としてが大多数でしたが、近年では宝飾クオリティダイヤモンドの生成技術の発展も目覚ましく、無色透明の非常に高品質なダイヤモンドの生成も可能です。アメリカを中心にラボ グロウン ダイヤモンドは宝飾用としての地位を確立しており、これからのジュエリー素材として注目を集めています。
ラボ グロウン ダイヤモンドの生成法には大きく分けてHPHT法(高温高圧法)とCVD法(科学気相蒸着法)の2種類が存在しています。
CVD(化学気相蒸着法)は高品質な比較的大粒のダイヤモンドの生成に適した方法です。生成温度は比較的高く800 - 1300℃ですが、高い圧力は必要としません。
チャンバー内にの基盤にダイヤモンドを層状に成長させるもので、炭素を含有したメタンガスにマイクロ波からのエネルギーを与えることによって基盤の上で少しずつダイヤモンドが成長します。科学的な不純物の種類と量を細かく制御できるので、純度の高い高品質なダイヤモンドの生成が可能です。
最も研究が古く現在で広く普及している方式がHPHT(高圧高温度法)と呼ばれるものです。天然ダイヤモンドは地中深くのマントル内で生成されますが、それに近い環境を人工的に作り出しダイヤモンドを生成するというものです。55000気圧ほどの圧力と1400℃以上の高温の両方を必要とします。
現在、HPHT法には、ベルト式、キューブ式、マルチキュービック式という3タイプの方式が存在します。
ダイヤモンドは炭素の結晶ですが、自然界で成長する天然ダイヤモンドは成長する過程で多くの場合不純物を取り込んで生成されます。そのほとんどは
地球上にありふれている元素である窒素を取り込んで成長します。
窒素を含むダイヤモンドをタイプⅠ(1型)、窒素を全く含まない、極微量の窒素を含むダイヤモンドをタイプⅡ(2型)と分類しますが、天然ダイヤモンドの98-99%はタイプⅠに分類されます。ごく稀にタイプⅡの天然ダイヤモンドが存在しますが、不純物をほとんど含まない純粋な炭素の結晶であることから際立った美しさを持つとされ、特にサイズの大きなものはタイプⅠのダイヤモンドよりも高額な値段で取引されます。
一方、完全にコントロールされた環境下で生成される、無色のラボ グロウン ダイヤモンドは『全て』がこのタイプⅡという不純物を全く含まない純粋な炭素結晶となります。